公益社団法人 日本技術士会北海道本部
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地域産業研究会 地域活性化分科会 平成11年度活動報告
         
 
1.寿都町視察先遣隊として参加  【平成11年7月15日(木)〜16日(金)】
   平成11年7月15日、新造優子様(滑ツ境保全サイエンス)、斎藤真人様(マイクロソフト)、畳谷の3名で、寿都神社祭り視察の名目で先遣隊として寿都町を訪れました。地元では東野商工観光課長に出迎えていただき、矢追町の花山(山車)を曳かせていただきました。
 分科会主旨の「人脈形成」と「寿都を知ろう」の段階(初年度)であり、まずは見て・触れて、体験することができました。
 祭りの豪勢さは資金力にあると思いますが、子供達の奴さんの衣装、天狗、御神輿、花山の豪華さはニシン漁最盛期の寿都漁師の資金力の豊富さを物語り、今もニシン文化の栄華を伝える祭り行列には文化の奥行きを感じ、大いに感動しました。
 翌7月16日は、寿都町会議室にて片岡農政課長(現町長)と東野観光課長の2名に対し地域活性化分科会の活動概要を説明し、寿都町をフィールドとしたい旨の了承を得ました。その後、寿都町の現状と昨日の伝統文化の伝承について話し合いを行い帰途につきました。
 
2.第1回地域活性化分科会  【平成11年8月30日 (月)】
   設立時は以下の34名で分科会をスタートした。
  地域活性化分科会:設立時メンバー
青木 弘征 有山 忠男 板垣 恒夫 伊藤 恒夫 井上 武雄 岩崎 元彦 上野 一郎
内田 辰英 大熊 正信 大野 和彦 岡田 操 斧 良彦 北越 正生 工藤 康雅
後藤  厚 斉藤 和夫 佐藤 隆一 柴田 登 須川 清一 瀬川 明久 滝沢 一喜
竹内 一重 畳谷 勝雄 戸館 吉彦 富田 義昭 中原 寿夫 能勢 一之 野本 健
橋本 昭夫 林  幸治 二ツ川健二 船越 元 松原 高司 油津 雄夫  
 
   平成11年8月30日(18:00〜20:00)、カデル2・7(920号室)にて第1回地域活性化分科会を開催し、以下の12名の会員参加を得た。(敬称略)
板垣 恒夫 伊藤 恒夫 岩崎 元彦 大野 和彦 斧 良彦 後藤 厚
斎藤 和夫 佐藤 隆一 須川 精一 畳谷 勝雄 戸舘 吉彦 中原 寿夫
 
   分科会運営方針の説明と質疑応答が行われた。

【設立趣旨案】
 ソフトの時代と言われて久しいが、実態的にはハード付随のソフトコンサルが主流を占めている。今後のコンサルのあるべき姿を考えたとき、華美な報告書を作るのみに終始していては時代のニーズに答えるべくコンサルは出来ない。また、これまでの報告書は地下倉庫に眠り、地元で調査に協力して頂いた方々の労苦のみが残っている。
 これらの反省から報告書ではなく「人脈ネットワーク」を残せるコンサル活動への実践的研究が必要だと考える。
 以上のことから、当分科会は会員の自主的活動が地元のためになり、且つ自らのためになる研究活動を行う。

【活動方針案】
@ 対象市町村に対しては原則3年の技術交流を行う。
A 対象市町村は会員3名以上の幹事と7名以上の参加者をもち採択される。
B 対象地域は研究会予算から2地域が限度であり、予算執行は会場費、講師謝金及び現地補助とし懇親会などは自費とする。
C 今回の対象地域は「寿都町」であり、この1年の活動経緯をみて、次年度から新対象地域を募る。
D 尚、新対象地域は担当幹事の運営とする。

【活動概要案】
@ 目的
 北海道におる過疎地での地域産業及び住民活動の活性化を促すための活動を行う。これまでのコンサルの反省を込めて、コンサルアフターフォローを行う。
A 活動計画
 1町村3年を原則として、1年目は現地視察・課題把握、2・3年目で地元ニーズに答えた活動を行う。
B 活動内容
 1年間に2回程度の現地研修と札幌段階での研究会を行い、2年目からは地元と連動した活動を行う。提言まで大袈裟でなく、地元交流をベースにした情報・人脈交流を通して何かを残せたら!と考える。
C 寿都町の選定理由
 寿都町は今年で国営農業基盤整備事業調査が終了するが、地域活性化に向けて外部知見の導入が必要である。コンサルのアフターフォローが必要であり、我々 の責任で同様な過疎地であり、このようなコンサルが必要な町村をも対象として増やしたい。
D 寿都町分科会活動方針
 「1年目=寿都を知ろう。」
 「2年目=寿都を調べよう。」
 「3年目=寿都を考えよう。」としたい。

【質疑応答】
 質疑応答については以下の項目がされ、活発な意見が発表された。
@ 具体的な行動はどのようなものか?
A なぜ寿都町なのか?
B 「国営農地再編整備事業」の将来性は?

【講 演】
講演者 : 寿都町地域活性化を考える会 滑ツ境保全サイエンス 新造 優子氏
演 題 : 寿都町の現状と動向 − WORKSHOPによるまちづくり −
 寿都町(湯別・浜中地区)地域活性化を考える会として、ワークショップによるまちづくりで実施された報告レジュメを基に講演された。
 ワークショップは新造氏の主導の元で3回実施されてきたが、4回目は地元が主体となって実施できる体制に成ってきたとのこと。

キーワード = 明朝体からPOP体へ
(肩肘張った従来の形態から、丸みを持った若々しい形態に変化しようという意味)

 また、寿都町の人は「新しいことに進んで取組まない」、「うわさ話がすぐ広まってしまう」、「働く場が少ない」など、目立つことを嫌う雰囲気がまだ残っているという印象を受けた。メンバーは若い人達が多いせいもあって、雄弁でチームワーク良く活発であり、どんどん自分達でやっていく雰囲気が有り、将来的には活性化が図れる土壌が有るのではないかと思われますとのこと。
 今後について地元メンバーは、もっとラフに参加できるような「仲間づくりの会」「サークル的なもの」として一度ワークショップを終わりにして、別の「サークル仲間を作ろう」という方向になるようです。
 つまり、「自分達自身で独自に進んで行こう」という「楽しいから集まる仲間づくり」と「意見が言える、発信できる」という独自性が芽生えてきたことが収穫としてあったことが報告されました。

【意見・討論】
 最後に、再度以下の3点について意見が出された。
@ 地域活性化分科会の設立趣意書をセンターへ提出しなければならない。
A 寿都町を選定した理由を明確に示す必要がある
B 分科会の活動報告をどのような形で示すのかを討議する必要がある。
 つまり、入口と出口をきちんと整理して示すことが必要ではないでしょうか。
 上記の討論では、設立趣旨、基本活動方針、活動概要を再度活発に議論し、まずは地元に入ることを優先することで了承を得た。

3.第2回地域活性化分科会  【平成11年11月26日(金)〜27日(土)】
   平成11年11月26日(金)〜27日(土)、寿都町役場会議室にて第2回地域活性化分科会を開催し、以下の9名の会員参加を得た。
寿都町
(3名)
片岡 春雄
農政課長
東野 伸広
商工観光課長
畑谷 勇
水産課長
   
分科会
(9名)
井上 武雄 岩崎 元彦 北越 正生 駆動 康雅 佐藤 隆一
須川 清一 畳谷 勝雄 戸舘 吉彦 新造 優子  
 
  【分科会要旨】
 寿都町の農業・商工・観光の現状を課長から説明していただいた。
@ 農 業
 農業は規模が小さく蘭越農協と合併、その後羊蹄農協に編入され、きめ細かい農業対応が難しい。担い手不足のため農地が原野化しており、農業出荷額は1億4千万円程度が7千万円まで落ち込んでいる。今後は基盤整備かその他の方法かを模索中である。「ゆべつの湯」利用や海岸環境整備事業と連携をとった農業という、これまでとは逆のアプローチを探っている。
 現在は、内地の事業者に農産物を直接販売したり、低農薬の野菜栽培、及び新規就農者の受け入れ、農事組合法人の設立検討を行っている。
A 観 光
 観光資源が弁慶岬・ニシン番屋、佐藤家住宅など少ない。古くから風力発電を実施し、ゆべつの湯の温泉が好評で、温泉と風力発電と周辺環境整備を検討している。しかし、最盛時の18万人の観光入り込みが14万人でとどまっている。
 札幌からも函館からも3時間の距離ハンデを克服するため、宿泊する観光にシフトしたい。町及び商工会で釣り大会を開催したところ盛況であった。釣り大会は、宿泊、食事割引、水産加工品のおみやげ付きで、前日から宿泊客も多かったためとのこと。
B 水 産
 水産業の内、加工業は生炊きシラスという特産品のため需要も多く安定している。原料は他町からも調達するほどである。
 しかし、加工業は人手が必要なため、人手が少なくなると工場移転など最悪の状況が懸念されるため、定住人口が必要である。
 漁業は育てる業業が定着し、漁業者が少なくなった分漁業者の取り分が増えたという予期せぬ現象が出ている。
 寿都町からの説明後、新造氏のワークショップの報告、及び質疑応答で会議を終了した。
 会議終了後、宿泊した旅館で3課長も同席され盛大に懇親会を行ったが、役場での会議以上に話題が沸騰し、我々分科会に寄せる役場側の期待の大きさを感じた次第です。翌日は、招待券を頂いた、湯別の湯に皆さんで入湯し解散した。

(記:畳谷勝雄)