4.都市型有機質廃棄物処理の現状と課題

昔、江戸は人口100万人の大都市であったにもかかわらず、循環都市構造を形成していました。生活で発生するゴミのうち循環できない物はほとんど無かったと言われています。灰、毛髪、紙くず、生ゴミなどの生活ゴミは、価値のある貴重な商品として取り引きされていました。なかでも人間の排泄物は、下肥として農村へ運ばれ、農産物は都市部へと運ばれるという循環型の構造を形成していました。循環系外からは米以外の食品の流入が少なかったことや暮らしぶりが質素であったことが、この循環を成り立たせる大きな要因となっていたと考えられます。
では、現代社会構造で都市部と農村部での循環が成り立つかと考えてみると、都市部への物質の流入があまりにも多すぎるために、“江戸”のような総合的な循環は考えられない状況にあります。大量消費に慣れきってしまった現代人に、生活のレベルを下げてまで、循環型社会の形成のための努力を強いることは困難です。総合的な循環はできなくとも、様々な手法を用いて資源循環の道筋を求め、小さい循環の積み重ねに取り組むことは可能です。一人ひとりに環境保全に対する意識を醸成することが、循環都市“江戸”の小さな再現となるのではないでしょうか。

循環都市“江戸”を現代に再現しようではありませんか。