(4)  資源循環と環境保全のための地方型有機質廃棄物処理のあり方

ここまで地方部における廃棄物処理の現状と課題について述べてきましたが、なかでも畜産廃棄物や水産廃棄物の発生は私達の食生活に起因する問題であり、これらを直ちに減量するため、飽食や大量消費からの脱却などを国民に同意を求めても即効性はないと考えられます。また北海道が日本の食糧生産基地として確立するためにも現状を見据えた中での廃棄物処理のあり方を考えていかなければなりません。

畜産廃棄物に特化してみますと、積雪寒冷地であるため牛を通年屋外で飼養すると、冬季耐寒のため体内脂肪の消費が増え生乳の脂肪低下を招きますので、大量生産や高脂肪の乳肉質維持のため海外からの安価な濃厚配合飼料への依存度が高い傾向にあります。しかし、栄養価の高い牧草中心の飼料体系に変換することにより、牛が草を食べ生乳や精肉を生み出し、また同時に排泄物は土中で分解され肥料となって草を生長させ、再び飼料となる理想的な循環を行っている農家もあります。

このような手法を取り入れた農家が増えていくように啓発していくことも有効な手段です。

視点を替えて見ますと、道内で飼育されている乳牛の場合、環境容量などから飼養頭数を制限しているEU圏の事例に見られるha当り2頭より少ない状況にあります。この状況を維持することで、これ以上の環境破壊が起らないと考えることも可能です。

家畜排泄物の管理と利用に関する法律が平成16年11月から施行されるため、畜産農家は堆肥盤などに屋根を架けるなどの措置を採っておりますが、たとえ経費が掛かったとしても、循環可能な排泄物を有効利用するような仕組み作りを構築していくことが大切であると考えます。

集積された糞尿の完熟堆肥化に向けた切り替えし作業などの外部委託や、堆肥完熟度の定義確立、製品の均一化や安定流通の確立、またエネルギー循環を目指したバイオガスプラントを採用する場合の低廉なシステム構築技術の確立、システム構築に対する国民の同意を得た国家予算措置、その他横断的な取り組みを可能ならしめる規制緩和など一元的に考えていく必要があります。