(2)   木質系廃棄物について

国内の建築・建設材・紙材の多くが外国産の安価な木材・パルプで占められ、現在では国内需要の80%を超える状態になっているため、道内産木材は伐採・搬出の費用負担に耐えられず、道内の森林には間伐を待ちわびて立ち枯れる木々も多く、森林環境の保全が懸念されています。間伐された森林でも、太い部分だけ運び出して、販売価格の安い細い部分・末木は林内に放置されています。

 また、木材工場で柱や板を採った残りの端材は(樹木の細い部分・末木とともに)従来、紙材に利用されていましたが、海外から安く輸入されるパルプに抑えられて、ほんの一部が暖房・乾燥に利用される以外は、工場の片隅に山積みされています。

さらに、市街地街路樹などの剪定伐採木、建築・建設廃材など様々な木質系バイオマスが有りますが、これまでわが国では木質系バイオマスに関して、ごく一部の利活用を除いてその多くを産業廃棄物などとして、焼却もしくは埋立て処分してきました。

しかし、木質系バイオマスにはかねてから、様々な優れた機能が備わっていることが知られています。例えば、木炭には水分吸収力や臭気・汚染物質などの吸着など優れた環境浄化機能があり、汚染の進んだ河川や湖沼の水質浄化に利用したり、飲用水の浄化に利用するケースなども見られます。また、農業分野では家畜ふん尿とオガ屑の適度の混合による好気性発酵で良質な堆肥を製造したり、都市生活の中では、し尿や生活生ゴミをオガ屑中に投入することで、無臭かつ水分排出なく堆肥化する木質資源の循環技術も実用化されています。

化石燃料の利用によってCO2が増加し、地球温暖化の危機が訪れている現在、化石燃料に代わって、炭酸同化作用によって大気中のCO2を固定化して成長する樹木類は、焼却によって大気中のCO2濃度を上昇させない地球環境に優しい “カーボンニュートラル”な樹木の燃焼・発電・熱利用が期待されています。

木材のこうした特性を利用して、森林資源の豊富な北欧・西欧諸国では、木質ペレットストーブが一般家庭にも普及しており、また、地域の発電と熱供給が併せて行われています。日本でも、木質ペレットストーブが一般家庭・事務所・公共施設に普及し始めており、また、地域の発電と熱供給、コ・ジェネレーションの実用化が行われつつあります。さらに、発電やコ・ジェネレーションの機器・システムの改良・開発が進められています。北海道でも、地域ぐるみで木材の「発電・熱利用の効率向上」や、地域環境の保全に取り組み始めた地域が出てきました。現在、下川町や足寄町、厚沢部町、南富良野町、協同組合オホーツクウッドピアなどで進められています。

北海道全体をみれば、有効利用可能な木質バイオマスは決して少ない量ではありません。しかし、農業廃棄物の処理と同様に経済性・効率性優先の現代社会にあって、山林から都市まで広範に散在する木質系バイオマス資源の回収や、移動に要する労力・コストの問題を、どのように解決していくかが課題となります。

    これまで放置されてきた山林を適正に維持管理することは、地球温暖化の原因となるCO2固定化機能を通して、わが国のみならず世界の環境保全にも寄与することができるだけに、森林管理に要するコストの確保を確実にするための地域支援システムを、早期に構築するべきであると考えます。