3.地方型有機質廃棄物処理の現状と課題

北海道には広大な土地や未だ人手の入らない素晴らしい自然環境が豊富に存在します。これに加えて冷涼な気候のもと、病虫害などの影響が少ないため、北海道産業と言えば、農業をベースとした第一次産業のほか、観光をベースとした第三次産業が主体となっております。汚染の少ない海浜地域では栽培漁業などが盛んで、都市部を除いた地方部では農林水産業が主たる産業を形成しており、これら地域からの産品は品質の良さや高い安全性などを全国にアピールしています。また戦後、日本人の食生活が肉食や乳製品主体型に移行してきたことにより酪農畜産経営が一般に認知されるようになり大規模経営化も進んでおります。これらを背景に生産性の高い専業的な農業経営が可能な北海道が、わが国の食料供給地域として発展してきました。  

当然のことながら、農業では畜産廃棄物や澱粉やビートの絞り粕など、また水産ではホタテ貝殻及びウロなどの水産残さ、林業では間伐材や製材屑などの多量発生が、地方自治体の廃棄物対策上重要な課題となっています。

近年、畜産廃棄物に関しては河川の環境汚染に直結する源として、適正な管理と利用促進についての法律が定められたところです。一部地域ではカラマツ間伐材を利用したチップ材や木炭などを河川構造物に組み込んで汚染河川の水質浄化を試みるなど、廃棄物の循環で好結果を得た事例が発表されています。次から地方型有機質廃棄物処理の現況と課題について述べます。