(4)   資源循環と環境保全のための都市型有機質廃棄物処理のあり方

都市部からは毎日、大量の事業系や生活系の有機質廃棄物が排出され、ゴミ収集車により集められた生ゴミの大半は、埋め立てや焼却による処分がなされてきました。しかし、現状のゴミ排出ペースが続けば、処分可能容量は残り僅かしかない逼迫した状況にあると言われております。このため、各自治体ではゴミの減容化に取り組み、生ゴミを含めた可燃ゴミについては、極力焼却処分によって減容化する方針で燃焼炉の建設を進めてきました。しかし、近年になって、中小燃焼炉からのダイオキシン発生による健康被害がクローズアップされ、より高温燃焼が可能な大型燃焼炉への転換が急務となりました。

さらに、新たな課題としてダイオキシンは、焼却炉の点火時及び消火時にも発生するため、焼却炉を連続運転するために必要なゴミを確保するために、収集範囲が拡大される傾向にあります。収集範囲の広域化によってゴミの運送距離は必然的に大きくなり、運搬車輌が消費する化石燃料も膨大な量となります。このような社会背景から、近年ようやく都市部から排出される生ゴミについても再資源化して利用しようとする動きが出てきましたが、家畜ふん尿のケースと同様に、再資源化のためのコストが利用コストを上回る現状にあることが課題となっております。

また、一部の自治体では下水処理場で水処理した後に発生する下水汚泥を、コンポスト化して有機肥料としての利用拡大を図ろうとの取り組みが、以前から続けられてきていますが、コンポストの生産にかかる経費を下回る価格で販売しながら、生産される(供給)量と消費される(需要)量とのバランスが均衡せず、多大な処理コストをかけた商品が在庫として倉庫に眠ったまま保管コストが増大し、自治体の財政を圧迫しているケースも見受けられます。こうした現象が生じる原因の一つには、肥料としての成分分析や作物にとっての施肥効果などが明確でなく、再資源化されたコンポストを有機肥料(堆肥)として利用する最大の利用者である農家の理解が得られないことにあると考えられます。特に、下水汚泥の中には農地汚染や農作物を通して人体への影響が懸念される有害物質の残留が懸念されています。

以上のことから私達は、生活系・事業系の別なく、各発生源から出てくる生ゴミなどの有機質廃棄物は、極力発生源で減容処理(Reduce)し、清掃工場でのエネルギー回収を基本に据えた中で、分散処理と集約処理のベストミックス方策を考えてゆかなければならないと考えます。各家庭、各企業にて生ゴミなどの有機質廃棄物の減容化に取り組むことにより、収集に要する人件費やエネルギー消費量を大幅に軽減することができます。燃やすことによりエネルギーを回収するシステムを手に入れた現代に於いては、有機質廃棄物を“燃やせるバイオマスエネルギー資源”と位置づけることができます。乾燥された有機質廃棄物はもちろんのこと、コンポスト化した有機質廃棄物もバイオマスエネルギー資源となります。コンポスト化すると堆肥として使わなければならないという固定概念の呪縛から解き放たれ、少ないエネルギーで水分を減らし、エネルギーを回収できる、地球環境に貢献する乾燥システムとしての位置づけができます。

資源として有効利用・再利用するためには、分別と減量がキーワードとなります。全国的にもゴミの分別の気運は高まってきており、分別したゴミの有効利用方法をわかりやすく示せばより分別・減量へのインセンティブとなります。

循環都市“江戸”を目指す取り組みの第一歩は、誰でも可能な“分別”と“減量”から始まり、私達はコスト的に自立する循環システム技術を選択し、小さな取り組みも大事に育てていかなければならないと考えます。