|
|
|
|
技術交流研究会トップページに戻る |
|
第126回技術交流研究会 |
|
|
■日 時 平成24年6月8日(金) 15時00分〜17時00分 |
|
■場 所 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号 Docon新札幌ビル会議室 |
|
■出席者数 19名 |
|
■講演概要 |
|
◆演 題 |
|
「不安とうつ:健常と病気の境目」 |
|
北海道大学病院精神科神経科講師 |
|
井上 猛 氏 |
|
◆講演要旨 |
|
不安とうつは普遍的な感情である。大切なものをなくしたとき(喪失体験)、あるいは無くしそうなときに、人は不安あるいはうつの気分を感じる。例えば、病気を告知された時に、多くの人は不安とうつ(落胆)を感じる他、怒りも感じる。その後、喪失を受容する時期が訪れるのであるが、受容にいたらないとき、不安とうつは持続的に強い感情となり、さらにその他の身体症状・精神症状をともなって病的な不安とうつになる。精神医学では、前者を不安障害、後者をうつ病と呼ぶ。なお、明らかな喪失体験が前駆しない病的な不安やうつも多い。
病的な不安は動悸・息苦しさ・発汗などの身体症状を伴い、我慢ができないくらいつらく、日常生活に強い影響を与える。病的なうつは意欲・集中力・興味・関心の低下と身体症状(からだのだるさ、食欲の変化、睡眠の変化)を伴い、やはり我慢ができないくらいつらく、日常生活に強い影響を与える。
健常な不安・うつと病的な不安・うつの間は連続的であり、精神医学的には「疑い病名」が境界領域の症例には付けられる。境界領域の症状の場合は、必ずしも治療の必要はないし、日常生活にもさほど支障をきたしていない。健常と病気の境目で、気分の変化に気づき、適切な対処を行うことにより、精神科の病気は予防される可能性がある。 |
|
 |
活動実績に戻る |
|
 |