公益社団法人日本技術士会北海道本部

第９２回技術交流研究会
日時　　平成１５年３月６日（木）午後１５時３０分～１７時３０分
場所　　札幌市厚別区厚別中央１条５丁目４番１号
㈱ドーコン会議室

出席者数　　　名
情報交換
講演　＂農業機械の現状と開発動向＂
－インプルメントについて－
　スター農機株式会社
　　佐々木　勝介　氏（機械部門）

＜要旨＞
１．はじめに
農業機械と言いますと、農作業に使用する機械程度しか一般的に理解されないのが現状かと考えます。実際に農業機械としてはトラクタや田植機コンバインなどは、テレビ等で宣伝されますので思い浮かべると思います。だが、実際にはトラクタと一体になって土を起こしたり、種を蒔いたり、堆肥を撒いたり、収穫したり、梱包したりする作業機械、即ちインプルメントが農業においては最も重要な役割を果たしております。
今回この様な機会を得ることが出来ましたので、インプルメントについて浅学非才ではありますが、現在使用されているインプルメントと牧草機械の開発動向の一端をお話ししたいと思います。
２．主な農業機械
現在使用されている主な農業機械としては、農用トラクタはじめ耕うん用作業機、砕土・整地作業機、圃場排水改良用作業機、施肥・播種・移植機、栽培管理機、防除機、稲麦用収穫機、脱穀機、乾燥機、穀物調整加工機、飼料作物収穫調整機、家畜飼養管理用機、野菜・果実・特用作物等収穫調整機械及び運搬用機などがあり使用されています。
３．農業体系からみた農業機械
農作業体系を大きく分けますと、１）水田作、２）畑作、３）牧草、となり、下記のような作業れになります。
１）水田作
石灰・化学肥料散布　―　堆肥散布　―　耕起　―　移植　―　除草・防除　―　収穫・梱包
２）畑作
石灰・化学肥料散布　―　堆肥散布　―　耕起　―　砕土・整地・均平　―　施肥・播種　―　運搬　―　収穫　―　除草・防除　―　管理　
３）牧草
石灰・化学肥料散布　―
堆肥散布　―
糞尿散布　―
―　耕起　―　砕土・整地・均平　―　鎮圧　―　防除播種　―　刈取り　―　給餌　―　調整・貯蔵　―　梱包　―　反転・拡散・集草　
４．酪農機械の開発動向
酪農機械の開発としては、現在の市場性を反映し現状の機種のモデルチェンジを主に、大型化と複合化と同時に自走化が更に進むものと考えられます。新機種の開発が一巡し一段落ついたこともあり、将来を見越した新機種の開発投資意欲が減退している観が否めません。
５．おわりに
農業の将来を考えた場合に、食料の自給率や生産性や高齢化等いろいろな問題を含んでおりますが、ＢＳＥ（狂牛病）など「食の安全」を考慮した農産物の生産が益々求められていくものと考えます。これらの問題の解決の一端を担うのが農業機械であり、特にインプルメントの開発がこれまでにまして重要になるものと考えます。