|
第85回工業技術研究会
日時 平成13年6月7日(木)午後3時〜5時
場所 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号
(株)ドーコン A会議室
出席者数 名
情報交換
講演 ”人工膝関節のバイオメカニクス”
北海道大学大学院工学研究科機械科学専攻
教授 石川博將 氏
<要旨>
現在、変形膝関節症や慢性関節リュウマチ膝などの重度な関節疾患に対して、人工膝関節置換術が行われている。この人工関節の接触面材料として超高分子量ポリエチレン(以下UHMWPEとする)が一般的に使用されている。しかしながら、UHMWPEの磨耗に起因して生じる骨吸収により人工膝関節の緩みが発生することが多く、このため、より超寿命の人工膝関節を開発するためにUHMWPEの耐摩耗性改良が強く望まれている。
UHMWPEの耐摩耗性改良を目指してさまざまな研究が行われているが、力学的にUHMWPEの接触変形挙動を解析することが、その摩耗特性を明らかにすることの第一段階と考えられる。その際、実際の歩行動作において人工膝関節中のUHMWPEは複雑な繰返し負担を受けており、摩耗を正確に評価するためには実際の歩行動作時の解析を行わなければならない。
実際の歩行動作条件におけるUHMWPE関節板の摩耗挙動については、いわゆる膝シミュレータを用いた実人工膝関節における摩耗実験が行われている。これらの実験によりさまざまな形状の人工膝関節における摩耗摩耗現象を再現 ・ 観察することができるが、摩耗現象をより詳細に検討するためにはUHMWPE関節板内部での力学的挙動を考察する必要がある。また、膝シミュレータ実験は過去に製作された人工膝関節を用い、その形状や材質の比較に活用されているが、その結果を最適形状設計などへ応用することは、多くのサンプル(人工膝関節)が必要となり困難である。それゆえ、実際の人工膝関節形状ならびに歩行動作による荷重変動を考慮し、人工膝関節におけるUHMWPE関節板の変動挙動を、繰返し塑性構成式を組込んだ弾塑性有限要素法により解析することにより、人工膝関節の最適設計のための一助としたい。
|
| |
|