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第84回工業技術研究会
日時 平成13年2月28日(水)午後15時〜17時30分
場所 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 名
情報交換
講演 ”森林・木材と環境”
松浦技術士事務所
松浦 清 氏 (林業部門)
<要旨>
世界の森林、身近な森林
ランドサット画像でみると世界の森林はロシヤと北米、南米、アフリカの赤道付近に纏り、乾燥地はアフリカから中央アジアにかけての広大な区域と、北米、オーストリア、南アフリカにも分布しているのがわかる。森林が育つ大きな要素は気温と雨量で、年間雨量は500−を超えるところといわれるから、地球上の陸地面積の30%しかない。日本は沖縄から北海道まで高山を除いた山地は森林に覆われた恵まれた国なのである。
身近な森林の様子を知るために、パソコンとランドサットのデータとを利用して、支笏湖周辺の多様な森林と厚岸湾ベカンベウシ川中流域パイロットフォレストの現況を林相解析した。
ドイツのシュヴァルトヴァルトの森はその豊かさと歴史で褒めそやされるが、同じような森林ができつつあるのが判る。同じ手法をとるフィンランドのラップランド州のロバニエニ林業専修学校では実習を重んじ、実業に就いても学校を中心とし毎年2・3日のスクーリングを含む生涯教育体制が行われていた。
森林の働きは大きく分けて次の4つに集約される。
@水を蓄え国土を守る。A木材を生産する。B快適な環境を提供する。C自然を守る。別の機会に南部フィンランドを訪れた時、林野局でも「同じだな、ただ@とCは一つでもいい」と話してくれた。
森林生態系の物質循環
森林ではさまざまな植物や動物が、互い競争したり助け合いながら生きている。林木を含め植物の光合成により生産された有機物はその生態系に特有の物質循環を作る。水は土壌の乾湿や林木の生育に関係し、土壌中の生物・微生物の活動や分解・栄養供給の媒体となっている。森林の中には多様な動物・植物が存在してフローラを構築し、さまざまな形で環境と影響し合い順ぐりに結びついて平衡を保っている。
昆虫などの動物と植物の食う食われるの関係、食物連鎖には二通りの流れがある。腐食連鎖と生食連鎖で、森林の自然循環系は圧倒的に腐食連鎖と考えらている。温帯林と熱帯林ではリタ―の分解は違った進み方をする。土壌中の微生物や菌類、シロアリと原生動物たちのセルローズ分解過程を経て有機物は二酸化炭素と水に分解放出されていく。
地球温暖化問題
1997(H9)年気候変動枠組条約第3回締結国会議では、先進国の二酸化炭素排出量の認識と温暖化効果ガス削減目標が決められた。 1998(H10)年政府は日本の二酸化炭素削減量6%に向けて産業・民生・運輸などの各部門の削減目標を定めたが、京都会議の国際公約を達成するには更なる削減が必要とされている。
地球は宇宙空間によって他の天体と隔てられているため、物質的には孤立しているが、エネルギー的には外界とやり取りがある。太陽からエネルギーは直接地球表面に達する。地球表面も太陽光で暖められるが、その温度上昇に伴って地球から赤外線の放射も強くなる。したがって、ある温度においてエネルギーの流入と流出は均衡する。
地表から放射エネルギーが宇宙空間に脱出するまでに大気層に赤外線を吸収する物質があればそこで吸収され減衰する。大気は引力で地球に引き止められているから大気は温室のように暖かくなり、エネルギーの均衡は変化し、地表温度は上昇する。温室効果ガスは対流・拡散によって気圏全域に広がりその影響は地球規模となる。
二酸化炭素濃度は産業革命以降増加し、20世紀後半に356ppmにまで急激に上昇した。その傾向は化石燃料の消費量の増大と一致しているといわれる。地球規模の異変がクローズアップされた背景には研究者達の貢献があった。また、現在は世界各地で温暖化のシミュレーションが行われている。
COP3以降デンマークで風力発電6000基が立ち並び国全体の消費電力の12%を賄っている。EUでは全発電量の10%を自然エネルギーで賄う計画となっている。ドイツでは自転車の利用、バスの走行性の向上、学校や公共施設の暖房温度の引下げなど、草の根運動を含め1990年比10%の削減に成功している。
昨年、オランダハーグでのCOP7では京都会議で未整理だった定義や内容の詰めを行ったが、二酸化炭素の排出量を減らすことは、現在の石油に依存した経済活動の変更を伴うのと全会一致の合意を必要とすることから、国の利害が複雑にからみ激しい議論となり会議は難航した。
森林・林業・木材産業分野の地球温暖化対策
わが国の地球温暖化対策推進大綱は1997(H9)年に決まり、翌年、森林・林業、木材産業分野における「地球温暖化対策の基本方向」が策定され、持続可能な森林経営の考え方を具体的にすすめることとなった。要点は@二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としての森林の働き、A木材を利用することによる炭素を貯蔵する働き、Bエネルギー集約型資材に代替することによる炭素の排出を削減する働き、C化石燃料に代替えすることで炭素を隔離し続ける働き、があげられている。
光合成と炭素の固定
植物は一般に光合成によって空気中の二酸化炭素と水から有機物をつくり酸素を吐き出す。光合成により固定された炭素のうち、植物自身の呼吸や植物を食べた動物の呼吸によって消費された部分はすぐに二酸化炭素として大気中に戻っていく。脱落した葉や枯死した植物体も腐生生物によって分解され同じく大気中にもどってしまう。
呼吸とは生物による有機物の緩やかな燃焼であって、光合成の逆反応であるとともに、燃焼によって二酸化炭素を発生するのと同じである。樹木が決定的に異なるのは、個体としての寿命が長く毎年年輪を形成しながら成長し大量の木部を蓄積し続けることである。
どれだけの貯蔵ができるかについては、農業高等学校の教科書「育林」では
二酸化炭素 1.5kg + 水 0.6− → 有機物 1kg + 酸素 1kg
とその効率を述べている。また、別の資料で、単位面積あたりの二酸化炭素固定量(成長量)比較では、熱帯林、杉の造林地、ブナ林の順に掲上されている。
森林の正味の二酸化炭素吸収量は光合成量と呼吸量の差であって、吸収された二酸化炭素は樹木の幹や枝、根、葉などに分配蓄積され、地上に落ちた枯枝や葉も土壌中に蓄積される。かくして、森林による二酸化炭素の吸収量は結果的に森林のバイオマスの変化量で示される。1994(H7)年現在、わが国の森林の樹木中に約11〜14億トン、土壌中に約50〜60億トンの炭素が貯蔵され、毎年2,660万トンが炭素として蓄積されている。
木材の元素組成
木材の元素の組成を調べてみると、炭素50%、水素6%、酸素44%であって、樹種が違っても殆ど変わらない。普通、生物を構成する元素はもっと多く窒素、リン、イオウ、鉄、カルシュウム、カリウムなどがある。植物細胞の元素組成と木材の元素組成を比較すると最も顕著に異なるのは窒素の量である。生きた細胞では乾燥重量の6%を占めるのに対し、木材は極端に少なくその50分の1から100分の1の量である。これは木材を構成している細胞の殆どが細胞壁だけでできているからである。
細胞壁を構成する主成分
主成分は3種類あってセルローズ、ヘミセルローズ、リグニンと呼ばれる物質である。セルローズとヘミセルローズは多糖類と呼ばれる高分子で糖を基本単位として糖が脱水重合することで連なった構造で、リグニンはフェニルプロパンを基本単位とした高分子でランダムな重縮合をおこなってアモルファスな構造をしている。いずれの化合物も構造は違っていても構成している元素は炭素、水素、酸素のみでいわば二酸化炭素と水とでできている。
形成層
木材は、形成層と呼ばれる樹皮と材の間に薄く広がる分裂組織の層で分裂した細胞が伸長・拡大した後、二次壁と呼ばれる分厚い細胞壁を堆積し、最後に生きた部分である原形質を失うことで完成する。どんな巨大な樹木でも形成層から分化途上の原形質を持つ生きた細胞の厚さはわずか5mmにも満たない。
細胞壁組織ができる過程
樹木細胞は形成層が細胞分裂することで誕生する。植物細胞は細胞壁を持っているため、細胞板という極めて薄い細胞壁をつくり分裂した細胞と区別する。細胞分裂を終えた細胞はすぐに役割が決められ、針葉樹は仮導管に、広葉樹では導管や木繊維、柔細胞などとなる。そして細胞は決められた役割に従い、断面積を増したり、長さを増したりしていく。このとき作られる細胞壁は一次壁(P)と呼ばれ極めて薄く柔らかである。
仮導管や導管、木繊維が定められた大きさに達した後、細胞壁は厚みを増していく。これらは二次壁と呼ばれ木材の特徴を担っている。針葉樹の仮導管を例にとると、ミクロフィブリルが横方向に配向した二次壁外層(S1)、続いてミクロフィブリルが縦方向に配向した二次壁中層(S2)、その後ミクロフィブリルが横に配向した二次壁(S3)が作られ壁層の形成は終了する。
セルローズは数十本集合したミクロフィブリルで壁層の骨格を作り、ヘミセルローズは一部分に集合しないようスペーサーの役割を果たす。リグニンはセルローズとヘミセルローズによる二次壁の骨組みの組み立てが終了すると同時に細胞の隅で溜まり始め、細胞間層そして徐々に二次壁にたまる(この現象を木化という)ことにより、細胞壁の形成は終了する。細胞壁の構造は鉄筋コンクリートに例えられるが、細胞壁の形成もその建設過程によく似ている。細胞が巧妙きわまる組み立てを分子レベルでやっているのである。
世界一の4本の木
地球で最も大きな生命体、それは木である。北米大陸西部に存在する4本の世界一の木を通じて樹木の巨大さ、偉大さを見てみよう。
・背の高い木「トーレストツリー」コーストレッドウッド レッドウッド国立公園
・長寿の木「メステラ」ホワイトマウンテン山脈ブリッスルコーン・パインの森
・体積のある木「ゼネラルシャーマンツリー」ジャイアンツセコイヤ セコイヤ国立公園
・太い木「アエウエテ」トゥレ・サイプレス メコシコオアハカ州トゥレ村
自然循環と産業経済システム
地球は太陽エネルギーに駆動される自然の循環が成立していた。人類は地球上の原料及び化石燃料や良質なエネルギーを利用して、大量生産、大量消費、大量廃棄の産業経済システムを形成し、大量の廃棄物、汚染と低質なエネルギーとして垂れ流してきた。その結果、気候変動・資源枯渇・オゾン層破壊・環境汚染・環境ホルモン・熱帯雨林の減少・砂漠化・生物多様性の減少などで持続可能性を喪失してきた。
こうした地球環境問題の逼迫をうけて、スイスの実業家シュミットハイニーは1990(H2)年UNCEDの要請を受けて、持続可能な開発のための経済人会議を召集し、意見を「チェンジング・コース」に取纏め、「環境の保護と産業開発の成功は文明の進歩というコインの両面である」として開発の進路を変えるよう提案した。持続可能な開発(Sustainable Developmennt)という言葉は1987(S62)年国連総会でノルウェーのヴルラント首相の提出した「環境と開発に関する世界委員会報告書」に用いられていて、先進国の遵守すべき責任とされている。
持続可能な森林生産活動 (自然の循環)
森林の循環系はムダのない循環を繰り返している。森林は生物を育てるがわれわれ人間も又森林によって育てられたといえる。日本は森林に恵まれ国土面積の約70%に及び、その40%を人工林として育て整備してきた。我々は森林の生産する資源を消費して生活している。木材を家や家具の材料として、また、紙の原料として利用して文化を育ててきた。
伐採した跡地に若木を植える。若い樹木の多い成長期の森林は二酸化炭素をよく吸収する。我々は森林の仕組みをよく理解し天塩にかけて育てることにより森林は無限に資源を生産し続けるのである。
世界の木材生産・消費と日本の木材需要・供給
1997(H9)年の世界の木材生産量は約34億m3で、このうち63%、21億m3が開発途上地域、37%13億m3が先進地域で生産されている。開発途上国での生産材の79%は薪炭用材でこれは世界の木材生産量の50%にあたり、殆ど自国で消費されている。他方、先進地域の薪炭用材生産は14%で、殆どが産業用材である。
1998(H10)年度、わが国の木材需要の総量は94百万 m3で前年比16%の減少になった。用途別のシェアではパルプ・チップ用42百万 m3前年比4%減、製材用37百万 m313%減、合板用11百万 m327%減で新設住宅着工戸数が著しく減少したことが原因である。木材供給量で国産材は19百万 m3、外材73百万 m3で木材自給率は21%である。柱5本のうち4本は外材、1本が国産材という割合である。
国民の住宅志向
わが国では木造住宅に対する国民の人気は高い。「森林と生活に関する世論調査」1998(H10)年総理府、によると住宅を建てたり買ったりする場合88.5%の人が木造住宅にしたいと回答している。大都市の若い年齢層でも76.3%が同様の回答をしている。
諸外国と較べると住宅の寿命が短いわが国では、良質の住宅ストックの整備を進め、住宅を長期に有効に使用していくことが重要であり、また、リフォーム時には優れた性質や地球温暖化防止に役立つ木材の使用を普及啓発するとしている。
木材の利用
樹木の光合成の賜物である木製品の構成元素を重量で示すと、50%が炭素、6%が水素、44%が酸素である。二酸化炭素と水とでできている。従って、木材を使うことは二酸化炭素の排出削減に有効で、木材住宅や家具を使い、適切に維持管理してその寿命を延ばすことは森林が固定した二酸化炭素を更に長期間に貯蔵することになる。全国の住宅に使われている木材に含まれている炭素の量は約1億4千万−(平成5年度末)になるという。
また、木材製品は製造・加工時の消費エネルギーが少なく、代替えして使えば化石燃料の消費を減らし、二酸化炭素の排出を抑制することができる。
知ってもらいたい木材の魅力
@人にやさしい、A地球環境の保全に貢献するB軽いわりに丈夫で扱いやすい特徴をもっている。しかし、木材の成り立ちから材質に木材特有の組織構造がある。樹幹方向と断面の直径方向と接線方向では強度や収縮率が異なり、「異方性の物質」である。これらの性質をよく知って使わなければならない。
住宅の構法
木造軸組工法 : 構法的に和風と洋風がある。相違点は小屋掛けと壁である。
木質系工法 : 木質プレハブ住宅の主流システムの共通点は壁式構造である。
ユニット工法 : 工場での生産度合の高いモデュラータイプのプレハブ工法。
ツーバイフォー工法:製材の断面が2W×4Wなど数種に限られる。継手、仕口は製材時のままの小口を突きつけ、胴付けし釘で打つ。壁・床は木質ボードを下地張りする。
校倉造 : 長方形断面の製材あるいは円形断面の丸太を水平に積んで壁を構成する。
ヘビーテンバーによる建築…庁舎新築の過程を説明し、構造材、内装材、外装材の区分を明らかにする。
地元中小径木製材工場と輸入材外国企業
人工林産の間伐材等の中小径材は森林組合や中小企業が、パレット等の輸送材、パルプ・チップ材として利用してきたが、最近、乾燥装置を設置し、建築構造材(大引・梁材)やログハウスなどアウトドア用製品を生産している様子、また、北海道に輸出している北米や北欧の製材工場等の例を紹介する。
ポートランド市再開発地区の四・五階建木構造の職住レジャーを組合せ複合住宅
サンフランシスコ地震の際、震源地付近で正に完成間近であった四階建て木構造建築物が全く被害に遭わなかった。北米の建築基準法規上ヘビーテインバー工法とドライウオールシステムを取り入れたプラットフォーム工法が耐震上、耐火上安全な建物とされている。
米国西部木材製品協会では品質管理、マーケッテング、技術開発、会員サービス、を行っている。どのような協会でも試験機関を併置し品質保証・技術開発をおこなっている。
全米エンジニアードウッド協会の品質確認プログラムでは耐震テスト・接着テスト・曲げテストを行って厳格な品質検査に合格したことを証明している。
全米ホームビルダー協会は冬1月に全国から7万人の参加者を集めて住宅建築展を行いアストロドームなど3施設一杯の展示と1、000を越すセミナーを行い、各会員が最も知りたい最新の情報と住宅部材と取引チャンスを与えている。
特用林産物
木材を除き林野から生産される総ての産物を総称する。盛衰が激しく、化学製品や外国からの安い良品の進出を常に頭に入れておかなくてはならない。
シイタケ
世界で栽培されている三大食用キノコは、ツクリタケ、シイタケ、フクロタケであった。栽培培地は畜産物・農産物の廃棄物、シイタケ・エノキタケ・ナメコの培地のような木質に大別できる。シイタケは材質腐朽菌の最もすぐれた食用キノコで原木が少ないことから鋸屑栽培が盛んである。最近では欧米でも生産されている。北海道の生シイタケの出荷量は全国第2位である。
木炭
北海道の駒ケ岳山麓森町でナラやイタヤなどの樹木が豊富で、炭窯に不可欠な粘土や軽石があって好条件が揃い力をいれている。エネルギー事情がかわりバーベキューやレジャー用が中心で中国製に押されている。新たに住宅の調湿材や河川の水質浄化用として、副産物の木酢酸は土壌の改良や入浴剤として効用が見直されている。
循環型経済システムと3つのR
1999(H12)年4月、中古品の利用や修理等のリサイクルが増えて、経済成長がマイナスに作用する恐れがあるとして、プラスに寄与させるための循環技術や需要の喚起や新産業の創出に力を入れる政策に転換した。
@リデュース Aリユース Bリサイクルに分け、3Rのうちリデュ―スとリユースの促進で「循環型システム」を目指すとしている。
木材のリユース
古材の利用、建築廃材や古い家具は従来からの行われてきた。歴史を刻み黒光する大黒柱や欄間などの古い細工を新しい住宅に活用する動きが全国的に広がっているという記事が載っていた。@現在手に入れるのが困難な良質の材料を使う。A森林資源の保護に役立つ。B伝統的な木造建築を見直す。Cインテリアとして魅力も大きい等の利点がある。奈良の元興寺の禅室に使われたヒノキの部材は年輪年代法で582年伐採、593年建立の法興寺のもので718年元興寺再建の時再利用されたものと明らかになった。古くから仕口、継手などの工夫が行われている。
木材のリサイクル
光合成の成果品である木材は製材工場や合板工場などで柱や板・合板・ボードに加工され、住宅や家具や日常用品となって利用される。一方、工場で発生する樹皮や鋸屑は畜産敷料として利用され、端材は木材チップとしてボードや新聞・包装紙として加工され利用される。
幸いに、木質材料は原料形態が 素材―製材―板―削片―繊維 というように多段階(カスケード)型をなしているので、リサイクル利用に際しても廃材の形態に応じて適当な原料に転換することが可能であり、廃材の資源化に要するエネルギーも少なくて済む利点をもっている。
ただ、製材・集成材・合板やパーテクルボード・ファイバーボードなどで住宅や家具を作る時、防蟻腐剤・接着剤・塗料などを使用するので、再利用する時には添加物の除去が必要である。効率よく再利用するためには、建築や製造段階でリサイクルしやすい、回収しやすい添加物を使ことが必要である。
木質材料は、元来、安全廃棄が簡単な材料で、最終的にはエネルギーとして有効に利用できる。しかも木質材料は炭素貯蔵型材料だから、でき得る限りリサイクル利用して、そのライフサイクルを伸ばすことが地球環境の保全の点からも望ましいことである。
生産から使用、廃棄まで環境に負荷の少ない木材がよりムダの少ないリサイクルシステムの中で利用されるとき、木材は他の材料に負けないエコマテリアルになると考えられている。
最後に、循環技術としての学究最前線情報 バイオプラスチック、木炭などの例を説明する。
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