第80回工業技術研究会
日時 平成12年3月2日(木)午後3時〜5時半
場所 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号
北海道開発コンサルタント(株) 会議室
出席者数 名
情報交換
講演 ”ダム貯水池の水質影響”
株式会社 福田水文センター
大熊正信 氏
<概要>
1.水利権の実態
1)水利用の実態
・ 水資源
我が国の年間降水量はおよそ1,730mm/年で、主要先進国では最大
一人当たりでは5,300mm/年・人で、アメリカの1/5以下
ダム貯水容量(一人当たり)でも、アメリカの536m3に対して我が国は36m3と、約1/15
・ 水需要
全体には増加傾向(1975年での総需要が876億m3/年に対し、1991年では914億m3/年)
農業用水 ; 横這い570→586億m3/年 (16年間で2.8%増)
工業用水 ; 減少 183→159億m3/年 (同上 13%減)
生活用水 ; 増加 123→168億m3/年 (同上 37%減)
生活用水と工業用水使用量は、1988年に逆転
渇水被害(取水制限)
過去5ヶ年で全国で70回発生(太平洋側50回(71%)、日本海側17回(24%)、北海道3回(4%))
2)水利権の種類と許可水量
・ 水利権の種類
一般に、農業、鋼 ・ 工業、水道、発電、雑用(養魚、消雪、し尿、維持管理など)に分類
農業用水83%、水道用水7%(暫定では農業用水25%、水道用水61%)
・ 許可水量
水利権の許可
河川法第23条 ; 流水の占用の許可
〃 第24条 ; 土地の占用の許可
〃 第26条 ; 工作物の新築等の許可
・ ダムによる開発水量
一般には、ダム開発(水源開発)をしなければ、新規水利権は難しい
かつて、ダム開発の主流は農業用水であった
現在は都市用水(水道、工業)が中心で、建設省直轄ダムでは水道用水が過半数を占める
2.貯水池の水質特性
1)北海道のダム
北海道内の直轄多目的ダム(完成ダム)は1999現在、14ダム
最近は、水利用目的の中に維持環境用水が含まれることが多くなってきている
2)貯水池の水温変化
ダム湖の水温分布→温度成層の形成
夏期に表層水温が上昇
一般に、水温が22°C以上になると富栄養化が進む
温度成層形成の条件
α=(貯水池年総流入量)/(総貯水容量)
α<10 ; 完全成層 10<α< 20 ; 部分混合 20<α ; 混合型
温度成層破壊の条件
β=(一洪水の総流入量) / (貯水池総容量)
β<0.5 ; ほとんど影響ない 0.5<β<1.0 ; 破壊まで至らない
1.0<β ; 完全破壊
富栄養化(カビ臭)の予測 年総T−P(g/m3・年)/(平均水深/滞留年数)>0.1でカビ臭発生
3.ダム下流の水質影響
1)河川水質の変動パターン
年変動
BOD ; 夏に高くなる傾向がある
負荷量が一定でも、渇水で濃度上昇、夏期出水による表面流出
SS ; 春、夏に高くなる傾向がある
融雪出水による濁水流出、夏期出水による濁水
経年変化
BOD ; 低下傾向にある
流域内汚濁排水処理の進展
SS ; 河川により異なる(流域地形・地質特性が影響)
2)ダム竣工前後の水質変動
BOD ; ダム竣工前に比べて、竣工後は若干高くなる傾向がある
SS ; 逆に低くなる傾向がある
大腸菌 ; 多少悪化傾向にある
4.最近の話題
(1)ダイオキシン
○1960年代にベトナム戦争でアメリカ軍が使用(枯れ葉剤)→奇形児の多発
我が国では、1983年に初めて検出→ゴミ焼却灰の中
○ダイオキシン類
・ ポリ塩化ダイベンゾダイオキシン(PCDD)→有機塩素系化合物
・ ダイベンゾフラン(PCDF)
・ コプラナー(Co−PCB)
○毒性 青酸カリの1万倍
○症状 体重の減少、免疫障害、肝臓代謝障害、心筋障害、死
○発生条件 プラスチック類や塩素漂白した紙類を約400°Cで燃焼させると、210種類のダイオキシン全てが発生
○体内摂取
人間の体内に蓄積されるのは、ほとんどが食物から
食物の内、約60%は魚介類から
天然魚より養殖魚、遠洋魚より近海魚・沿岸魚
○規制
日本(厚生省) 10 (pg−TEQ/kg/日)
(環境庁) 5 (大気基準 ; 0.6、水質基準 ; 1、土壌基準 ; 1,000)
WHO 10
アメリカ(環境保護庁) 0.01
(加州) 0.007
(食品医薬品庁) 0.06
発ガン性物質と認めるか否かで、規制値が異なる
○上水道管理上の注意点
水源に影響を与える範囲以内に、@廃棄物最終処分場があるか、A焼却炉があるか
ある場合は、汚染源の調査、土壌分析、地下水調査、ボーリング調査など
汚染されている場合は、取水しないなどの消極的改善策より無い
○個人的な対策 過剰包装のものは買わない
再生利用可能なビンもの(ビールなど)を買う
ゴミの分別に協力
たき火、不法投棄をしない
(2)浄水活水器
自然な水 ; 地表からわき出たばかりの水は、クラスターが細かい状態にあり、分子レベルで水本来の新鮮な状態
活水器 ; 磁気および遠赤外線などの作用で、この状態を再現
→浄化ではなく、水本来の浄化作用を引き出す
(一般的な効果)
・ 食器、洗濯物の汚れ落ちが向上
・ 排水口、管のヌメリ、雑菌が減少、塩素臭が減少
・ 肌荒れ防止、切り花長持ち
|
|
|