公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第74回工業技術研究会
日時 平成10年10月8日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号
   北海道開発コンサルタント(株) 会議室

出席者数  名
情報交換
講演 ”自然の冷熱エネルギーを利用した農産物貯蔵について”
     北王コンサルタント(株) 取締役  技師長
        会員   船越  元 氏  (農業部門)

<要旨>
積雪寒冷地と言われる地方に住む私たちは、これまで雪 ・ 氷 ・ 寒さという自然条件を一つの不利条件(ハンディ)として捉えられてきたように思う。確かに、積雪寒冷地と温暖な地方とのこうした自然条件の違いは生活の面で大きな相違点を生じさせ、経済活動や社会利便性とう側面ではデメリットとなる一面もあることは事実である。しかし、こうした自然条件も見方によってはメリットとして捉えられる可能性がある。温暖な地方では得られないこうした自然条件を活用して、これまでにも冬期間のスキーやスケートといったリゾートのほか、冬季観光イベントなどが地域経済に大きく貢献してきた。しかし、こうした「雪と親しむ」という側面を除けば、これまで雪を積極的に「利用する」という側面からのアプローチ、特に産業分野への利用に関しては大きく立ち遅れてきたと言えよう。
今まさに、地方の時代と言われ始めているが、地方にとって最も望ましい生活パターンを再構築していくためには、まずその地方の自然条件に立脚した発想方法が求められる。これからは積雪寒冷地のハンディとして捉えられてきた自然条件を、逆に「有利な条件」として利用するための発想の転換が必要であり、今回はこうした中から私たちの生活の基礎である食料問題に絡めて、雪などの自然冷熱エネルギーを利用した積雪寒冷地の農産物貯蔵の話題を中心に報告する。