第61回工業技術研究会
日時 平成8年8月1日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 14名
情報交換
講演 ”圧縮式冷凍機によるガスタービンの吸気冷却”
レックスジャパン(株) 取締役相談役
工学博士 水野忠治 氏
<要旨>
ガスタービンは多くの利点をもっているが、一般にタービン入口温度を相当高くしないと、熱効率、比出力が比較的低く、また大気温度の変化により、その性能が大きく左右される欠点をもっている。これらの欠点を改善する一つの方策として、タービン出力の一部を直接利用する圧縮式冷凍機を冷却系に用い、冷却系の成績係数に着目して、冷媒圧縮機の消費電力よりも空気圧縮機の所要電力の軽減分が大きく、相対的に比出力、熱効率の向上が可能であり、また、非熱の温度や、その容量による制限を受けないで、十分に吸気を冷却でき、さらに冷媒の改良により、より高い吸気冷却サイクルの利得を追求しうるものと考え、この方式のサイクル性能の解析を以前に実施した。
すなわち、一軸・再生・開放ガスタービンサイクルに圧縮式 冷凍機による吸気冷却を施したときの熱力学的一般特性を解析して、冷媒の成績係数、吸気温度降下率[(吸気冷却器出口空気温度)/(大気温度)]ならびに大気温度等が一般特性に及ぼす影響を求め、本サイクルの可能性と有用性の検討を行った。
その結果、在来形サイクル(吸気冷却を施さないサイクル)に比べ、現用ガスタービンの短所を相当に改善しうることがわかった。すなわち、そのときの設定条件で、熱効率の向上程度は、相対値で数パーセント、比出力のそれは十数パーセントで、いずれも大気温度の上昇に伴って更に増加し、また、大気温度の変化による性能値の変動を相当に緩和しうることがわかった。
以上のことより、このサイクルの適用には、さらに冷媒の改良、急速起動性の確保、防霜の問題等解決すべき色々の課題はあるが、省エネルギー、地球環境問題等の観点からも、その実現に努めるべきものと考える。
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