公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第60回工業技術研究会
日時 平成8年6月6日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
   北海道開発コンサルタント(株) A会議室

出席者数 19名
情報交換
講演 ”地震時における地盤の液状化、そのメカニズムと防止対策”
     北海道大学工学部土木工学科 基礎地盤工学講座
        助教授 工学博士 三浦均也 氏

<要旨>
地震による被害を報じる新聞記事を見ていると、「液状化」という単語がようやく市民権を得たように思われる。ここ4年余りの間に北海道周辺で発生した地震や兵庫県南部地震においては、地盤や土構造物の液状化による被害が多く見られている。これらの被害は道路・鉄道や港湾施設、河川堤防、ライフラインといったほとんど全てのタイプのインフラストラクチャーへと広がりを見せた。
講演では、まず液状化による被害を紹介し、続いて、地盤が液状化し、それによって種々の被害が生じるメカニズムを解説された。また、近年精力的に進められてきた液状化の研究の成果を背景に、実施に移されてきている地盤や土構造物の液状化防止対策工とその効果について説明たれた。
即ち、「地盤の液状化現象」という言葉が、地震災害を報じる新聞紙上で頻繁に見られるようになってきたが、「地盤の液状化現象」とは、強い振動を受けて地盤や土構造物が文字どおり液体のようになることを指している。この時、地盤に支えられている、あるいは地盤中に設置された各種の構造物に大きな被害が発生する。地盤の液状化現象は、1964年にアラスカ地震と新潟地震で発生した甚大な被害によって初めて注目されるようになった。地盤が固体から液体へと変化するこの現象は、急激にそして破滅的に生じることから、構造物の座屈現象に匹敵する超一級の破壊現象とされている。地盤工学の分野では、ここ30年間における最大の研究テーマであり続けたとともに、地震国である日本とアメリカが液状化に関する様々な角度からの研究をリードし続けている。