第54回工業技術研究会
日時 平成7年6月8日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 13名
情報交換
講演 ”光による生体透視”
光CTと生体機能イメージングの試み
北海道大学工学部生体工学専攻
教授 工学博士 清水孝一 氏
<要旨>
これまで「光は生体を透過しない」と考えられ、X線のような透視は不可能とされてきた。しかし近年の光学工学技術の進歩は、この常識をくつがえしつつある。
生体組織の吸光スペクトルを見ると、生体色素や水による吸収のため、光の透過率は一般に低い。しかしその中で、波長700〜1200nmの近赤外領域は、部分的に吸光度の低い「分光領域の窓」となっている。従ってこの波長域の光は、生体組織をよく透過する。
最近、この透過率の高さが注目され、光による生体透視や光CTの可能性を指摘した論分もいくつか見受けられるようになってきた。しかし透過率が高いだけでは体内構造を可視化することはできない。光の場合、X線や磁気と異なり、生体組織における散乱という困難な問題が存在するからである。すなわち、吸光度の低い波長域を選ぶことにより光の減衰は小さくなって透過光が得られるが、強い拡散性の散乱のため生体内構造物は見えてこない。しかし拡散されて出てきた光から体内構造の情報を抽出することができれば、光による生体透視、ひいては光CTを実現することができる。
われわれは、この可能性をを求め、理論的・実験的研究を行ってきた。本講演では、これまで得られた研究結果をもとに、光による生体透視の可能性およびその有用性について紹介する。また、講演者がこれまで行ってきた研究の中から、次の話題についても紹介する。
1. レーザー散乱による尿中バクテリアの計数
2. 光による生体情報の遠隔計測(テレメトリー)
3. 送電線からの強電界の生体影響評価
4. テレメトリー手法による救急医療の高度化
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