第47回工業技術研究会
日時 平成6年4月14日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 14名
情報交換
講演 ”今、教育において考えなければならないこと”
(株)北日本ソイル研究所
土壌環境対策室長 佐藤隆一 氏
<要旨>
1.子供の発達の道筋を踏まえて育てる。
人間にはある程度普遍的に定まった身体的・精神的・社会的発達の道筋があり、一人ひとりの子供がその道筋を辿って成熟して行く。成熟して行く過程で、発達の各段階は次の発達の基礎となる。従って子供の成長のためには、発達の各段階において、子供らしい生活を充実させるのが最も大切であると言われている。
(1)乳児期から始まる「基本的信頼感」の獲得が人格の発達にとって、特に大きな意味を持っている。それには親の愛情が特に大切であり、、十分なスキンシップを心掛け、暖かい応答的雰囲気の中で基本的欲求を充足させることが求められている。
(2)幼児期は自立感の獲得が課題であるが、乳児期とは異なって過保護にならないことと、成功の経験ばかりでなく、失敗や挫折の経験とバランスよく体得させることが肝要である。こうした体験を通して、自立感、思いやり、意志が育ってくる。この時期に、いろいろなことを感じられる経験を積むことが、子供の感性を育てるのであり、理解力や思考力の土台が作られていくのである。この時期、親として大切なことは、子供の話をよく聞いてやることを常に心掛けなければならない。
(3)学童期の発達課題は活動性である。そのためにも、小学生の時代に直接体験の機会が奪われないように留意する必要がある。学童期に遊びが欠落すると、生き生きとした精神発達を損ねることになる。物事に熱中する体験が脳細胞のネットワークを強くするのであり、意欲を育てることにつながっていく。また、9〜10才の時に発達の質的転換期があり、この9才の壁を上手に越えられるように、それまでにきちんとした躾をしておくことや、子供の夢を膨らませる配慮が大切となってくる。
(4)思春期の発達課題は自己同一性(自己確信)である。不安・感情の両価性、変容が激しく、しかも反応量が大きく、コントロール能力が低い特徴がある。我々大人はこれらの思春期の特性をよく知り、柔軟で広やかな心をもって若者を眺めていくべきだと思う。ともかく、子供の発達を軸として、子供の動きに沿う援助が何よりも必要である。そのためには、発達の各時期に即した刺激の与え方と一貫して得られる人間的な暖かい接触関係が望まれるのである。
2.意欲と思いやりの発達が子育てのポイント
思いやりは大人が思いやりをもって子供に接することから育ってくる。思いやりの心が発達し始めると、他人のことを「思いやって」自己統制力が芽生えてくる。人間は全て成長する力を内包している。子供を有能な学び手として見て、子供がのびのびと育って、興味、関心、知的好奇心を大事にする意欲を育てる教育こそ、今、最も求められているのではないだろうか。
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