第46回工業技術研究会
日時 平成6年2月3日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 15名
情報交換
講演 ”国産エネルギーについて”
−−−水力・地熱を主として −−−
北海道大学工学部資源開発工学科
教授 工学博士 田中威 氏
<要旨>
現代社会はエネルギーに大きく依存している。即ち、石炭・石油・天然ガス・原子力のような人類が開発したエネルギーで80%以上を占め、残りは水力・地熱・新エネルギー(太陽光・太陽熱・海洋・バイオ)等の太陽エネルギーに由来するもので、純国産エネルギーである。
長期エ ネルギー需給を見ると、石炭・石油・天然ガス等の化石エネルギーの埋蔵量は有限なのに、途上国の経済発展のことを考えると、需要は増える一方であり、地球の温暖化を防ぐには、化石エネルギーの使用を減らして炭酸ガスの排出を削減しなければならない。それには、国産エネルギーの構成比を高めなければならない。そのうち、特に水力・地熱について述べる。
水力は、国産エネルギーとしては最大のものであり、我が国の一次エネルギー供給の4.7%、国産一次エネルギーの約5割を占めている。また、化石燃料とは異なり、クリーンな非枯渇性エネルギーである。水力発電は、一般水力と揚水式に分けられるが、揚水式は、電力のピーク調整が主目的であり、エネルギー供給力としては一般水力の拡充が重要である。水力発電原価は、資本費関係が大部分であるためインフレの影響を受けにくく、長期的に安定している。水力の今後の開発地点については、立地条件の有利なものが少なくなっており、中小規模地点の開発が中心となる。
我が国は世界有数の火山国であり、火山が65、それを含めたいわゆる地熱地帯が200ヶ所以上あり、全世界の地熱エネルギーの約1割に相当する豊富な地熱エネルギーの賦存が見込まれている。地熱エネルギーは、化石燃料の使用に伴うような硫黄酸化物、窒素酸化物の排出がほとんどなく、クリーン なエネルギーである。地熱生産井の掘削等プラント建設のイニシャルコストは比較的高くなるが、燃料代が不用なため長期的にみた発電コストは石油火力発電に比べ有利である。地熱エネルギーの開発利用を今後飛躍的に拡大させるため、地熱資源の探査、大量の未利用熱水の有効利用を図るためのバイナリーサイクル発電プラント、人工熱水系造成による高温岩体発電技術等の開発が推進されている。
地熱資源の評価の一例として、2km×3km、深さ1km、温度250°Cの地熱地帯を対象とすると、地熱発電出力124MWで100年間も運転可能である。
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