公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第45回工業技術研究会
日時 平成5年12月2日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
   北海道開発コンサルタント(株) A会議室

出席者数 17名
情報交換
講演 ”環境保全と原子力利用”
     北海道大学工学部原子力工学科
        助教授 工学博士 熊田俊明 氏

<要旨>
地球環境が急速に悪化しているのを、まだ実感できる人は少ないでしょう。炭酸ガスの増加による地球の温暖化、酸性雨による森林破壊や河川や湖沼の生物の死滅、フロンガスによるオゾン層の破壊などによる砂漠化の進行などが急速に進んでいるのが地球の現実です。さらに、これらの環境破壊を加速するのが、途上国での爆発的な人口増加です。今日の環境問題は地球規模であり、地球規模の環境問題ほど私達の子孫には重大な影響を与えます。炭酸ガスの問題では、今日の豊かな生活をある程度維持しつつ地球環境を守るには、省エネルギーを真剣に進めると同時に、どのようなエネルギー源の選択が適切かを、真剣に考えなければなりません。環境対策に多額の投資をしつつ、かつ現在の生活に近い豊かな生活を続けるには、コストの安いエネルギー源が必要です。このような条件を満たすエネルギー源として原子力の利用が考えられますが、原子力の利用には、多くの国民が安全性に不安を持っています。果たしてこの難問を解決する方策はあるのでしょうか。
昨年、ブラジルで開かれた地球サミットで採択された「地球憲章」には、「すべての人類は、地球環境を子孫に引き継いでいく義務を負っている。」という世代間公平や、地球にやさしい伝統的な生活様式の重要性などがうたわれています。「私達は過去から未来へと世代間をつなぐ僅かの期間、この地球を借りているに過ぎず、未来の世代に健全なまま地球を引き継いでいかなければならない。」という主張に、私達が何をしなければならないかが、すべて包括されています。