第44回工業技術研究会
日時 平成5年10月7日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 11名
情報交換
講演 ”土砂災害”
(有)仲野防災技術研究所
代表取締役 仲野昭治郎 氏
<要旨>
1993年におけるわが国は、自然災害に追い回された年だったと言っても過言ではない。1月15日の釧路沖地震、2月7日の能登半島沖地震、7月12日の北海道南西沖地震、7〜9月にかけての台風・豪雨。一方において雲仙普賢岳が1990年11月以来からの噴火活動による火砕流、など ・ ・ ・ ・ ・ ・。尊い人命が失われたり、家屋・公共施など人命財産の損傷など枚挙にいとまがない。
1.地震による土砂災害
(1)山くずれ、崖くずれ、地すべり
地震によるものは地震の加速度による剪断波が主役であって、これが繰り返し荷重として作用し、やがて土の強度を上回って破壊させるのである。この過程で、異状な過剰間隙水圧がところによっては大きく作用することもある。沖積低地はもとより、比較的固い台地の崖くずれ、凸部斜面や斜面上部で発生したものが比較的多いようである。地すべりは宅地や工場などの大規模造成地に発生し、小さな土塊に分断されて夫々陥没隆起をしながら特異な地すべりをしている。
(2)土構造物の破壊
土の強度によるが、堤防・道路などは、地震動による主動破壊面から水平移動による底面すべりを生じ、破壊していることが多いようである。また、ダムなどでは底面付近からの液状化が原因で破壊されたのが見られた。
2.豪雨による土砂災害
豪雨などによるものは、雨水が地下に浸透して過剰間隙水圧を発生し、地下に弱い地層から山くずれ、崖くずれ、または、すべり面から地すべり移動させるのが大部分である。これらが土石流となって被害を与えている。
3.火山による土砂災害
噴火によって山体に堆積した噴火物が、その後の豪雨などによって浸食され、長期間にわたり土石流が発生して、悲惨な被害を繰り返していることは周知のとおりである。
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