公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第35回工業技術研究会
日時 平成4年4月9日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西3丁目建設会館
   北海道開発コンサルタント(株) 2F会議室

出席者数 12名
情報交換
講演 ”コンピューターとネットワークの話”
     (株)情報システムコンサルタント
        代表取締役 内田辰英 氏

<要旨>
近年は、日本いや世界をあげてコンピューターの小型化への指向が強い。この傾向は、これまで大型のシステムを中心とするメーカーカラーの強い「金しばり型」利用を余儀なくされてきたユーザーの反駁に加え、価格の低下、機能の向上が進んだことがその最大の要因である。そして今、この価格の安い小型コンピューターを使ったネットワークへとその利用機運が高まってきているが、必ずしもその結果はすべてを満足させるものではない。
このようなダウンサイジングはなやかなる背景として、
※部品の専業メーカーの技術力、供給力向上により、1単位の単価が、従来では機種毎に開発生産していたメーカーのそれとは比べるもなく安い価格を形成していること。
※コンピューターに搭載する基本システム(OS)も専業ソフトメーカーが進展し、従来、メーカーが自社の製品(コンピューター)用として開発していたものに比べ、格段に安くかつ、多機種に共用できるメリットが知られており、メーカーOSからの脱出を計るユーザーが増えてきたこと。
※そして何よりもメーカー指定の「金しばり型」運用体制にガマンがならなくなったこと。
などがあげられる。
かくしてここ数年、一般利用ユーザーはこぞって小型へとその歩を進めてきたが、「機能が高い」、「安い」と喜んでばかりもいられない昨今となってきた。
小型マシンの代表たるパソコンは、その名の通り「パーソナル(個人)」用としての設計に基づいているのでどうしても限界がある。これをビジネス用として利用し、しかもそれを主力にしようとしたとき、歴然とした壁に直面することになる。日本全国どこもこの傾向は同じらしく、このパソコンの次の有効利用手段として小型ネットワークが市場を賑わしているが、安易に取り組むとこの効率の悪さを始めに知るユーザーは少なくなく、導入実施後「憂き目」を見ることも多い。
「回線ネットワーク」という、一見すばらしい通信手段もかなり複雑で高価なものを利用しないと「実利」を得ることは中々困難である。そして、今、ワークステーションへとシフトが始まっている。世に言われているように単なるダウンサイジングのみではなく、大型から小型へ、そして小型から中型へと利用形態の「ゆり戻し現象」が今その最中にある。
小型〜中型マシンは今後更に機能は強化されるだろう。2000年に1,000〜2,000MIPSという予測もあるくらい上限は計り知れない。これらの利用はユーザーにとってすばらしい恩恵となるか、はたまた面倒なお荷物となるかは、一つにユーザーの知恵にかかっているが、この限りない可能性を予測することははなはだ困難である。