第31回工業技術研究会
日時 平成3年8月8日(木)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
北海道開発コンサルタント(株) A会議室
出席者数 10名
情報交換
講演 ”土木構造物における耐震設計の現状と今後の展望”
中央コンサルタンツ株式会社札幌支店
技術部長 松井義孝 氏
<要旨>
昨今の国内外における火山および地震活動は頻繁に発生している。私達技術者は、防災対策およびそれらの予知はさる事ながら、いかに被害を最小限または、被害のない構造計画を作成するかが技術者の力量であるといえる。演題を次の4つに分けて説明した。(1)プレートテクトニクスと地震の原因、(2)構造物の耐震設計、(3)耐震設計法から免震設計法への移行、(4)ロマ・プリータ地震の被害活動と1年後の復興状況等に分類した。耐震設計法の現状は、震度法という静的解析から静的フレーム法への移行である。この手法は、静的解析でありながら動的解析結果に近い高精度な結果を得る事が出来る。土木設計の中で道路橋示方書が本手法を採用している。
動的解析は、耐震設計上最も地震挙動に近く精度の良い計算手法である。耐震設計上、最も重要な要因は、構造物のモデル化、地震動の選定、解析手法の選定等である。動的問題の中で特に講師の研究テーマでもあるモードあるいは値量の連成問題等を簡便的手法でありながら高精度結果を得られるCQC法の適用を述べた。今後の耐震設計の展望では、耐震設計から免震設計への移行が注目すべきテーマであるといえる。この手法は従来の地震力を直接反力として受ける構造性ではなく、構造物を長周期にしたり、減衰性を考慮したりして、地震応答力を低減するものである。おもに構造物の受台等に積層ゴムやダンパーを用いたりしてエネルギーを吸収する方法である。構造物が複雑になってきている現在、限界状態設計法と並んで地震力において免震設計法の発展を注目していきたいと述べた。
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