公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第29回工業技術研究会
日時 平成3年4月3日(水)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
   北海道開発コンサルタント(株) A会議室

出席者数 7名
情報交換
講演 ”北海道の電気業界の現状”
     北海道電気技術サービス株式会社
        代表取締役 向井隆 氏

<要旨>
「我々は社会主義国家体制ということで破れたのではない。資本主義のなかにあれ程の技術革新が成長してゆくということを見逃していた。」と1988年にゴルバチョフが共産党大会で演説したといわれているが、北海道の産業を外部から眺めたイメージは、農業や漁業を主体にした一次産業と近年はとくに観光や情報を中心とした三次産業に集中している。これまで二次産業というと公共投資型の土木建設が主流をなし技術力や労働力において、二次産業や三次産業全般の牽引的役割を果たしてきたが、実質的な製造業の発展による技術革新がなければ地域経済の自立も活性化もあり得ない。産業構造も需給の関連のなかで成り立つわけであるから、この製造業の立ち遅れが、私共電機業界に与えてきた影響も歴史的な事実である。しかし、それと技術レベルとは別であると思う。生産形体には全国的視野に立った大量生産のマーケッティングとその地域の特殊性に根ざした、小量特殊特注による生産のマーケッティングがある。後者の場合、量産による効果の期待が望めないために微細な点にも気配りと常に技術革新が求められる関係において、本州大手企業が参入不可能なミクロの技術力が発揮できる優位性がある。最近、時間と空間をともなった心の豊かさが求められている。それには自然と共生できる北海道の生活環境が最適な位置にある。この環境のなかで最新技術を活用した独創的な研究・試験・試作による技術革新を進め北方圏諸国との交流を計ることによって、これまでの立ち遅れが解消できかつ成果が定着するものと思われると述べられた。