公益社団法人 日本技術士会北海道本部

第26回工業技術研究会
日時 平成2年10月3日(水)午後2時〜5時
場所 札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45ビル
   北海道開発コンサルタント(株) A会議室

出席者数 5名
情報交換
講演 ”カーブ走行も出来る大型クレーンの走行装置”
     北建エンジニアリング株式会社
        取締役開発部長 阿部任 氏

<要旨>
クレーンといってもレール上を走行する『クレーン』とトラッククレーン等のような不特定な場所に移動出来る『移動式クレーン』に分類することが出来る。
クレーンが大型化したり、吊荷重が大きくなるとやはりレールの上を走行するクレーンが圧倒的に多い。そして殆どのレールは直線状に敷設されていて、クレーンはその上を真直に走行するのが一般的である。
ここでは自重約320t、レールゲージ14mの走行レール上を走る大型クレーンを約30°屈折した岸壁に沿って移動させる必要に迫られ、考えられる六案の方法について施工上の問題点、難易性、および設備後の管理上の問題点ならびに施工上のコスト等を概略的に比較検討して、クレーン本体に直線レールもカーブレールも走行出来る機能を持たせ走行装置を採用する事とした経緯について述べている。
そしてこの方式を実施する上での検討事項を拾い上げ、4点に絞り込みこれらの解決策について説明している。第一点目は直線レールを走行するクレーンがカーブレールを走行する際レールゲージが縮まり、さらに陸側の前輪と後輪の軌跡が異なる点、第二点目は海側レールと陸側レールの曲率半径の差によるクレーンの左右の速度差の調整、第三点目は既設クレーンのカーブレール走行化への改造工事対策、第四点目は岩壁乗り移りの際の給電装置の切替対策、等。
さらに試運転結果を走行モータのビジグラフと比較して、クレーン用巻線型モータの同期性でカーブ走行時の左右の速度差を解決出来たことを述べている。