| 肝臓、心臓、腎臓などといった重要臓器が広範に障害されると臓器不全が生じる。臓器不全という病態は、致死的であり、救命が難しい。このため、臓器移植とか人工臓器という治療法が開発されてきた。この結果、心臓移植、肝臓移植、腎臓移植、人工腎臓、(人工心臓)などにより、これらの末期臓器不全患者が救命され、社会復帰できるようになってきた。当然、治療に伴うriskは付きものであるが、命を落としていた大半の患者さんがこれらの治療により、例えば肝移植では5年生存率が70-80%となっている。しかし、解決しなければならない課題はまだまだ残されている。これらの課題とその背景の主なものを肝を中心に列記すると以下のようである。 | |
| @ | 欧米での臓器移植は、脳死移植が大半である。 |
| A | これに比し、わが国では、生体肝移植が主体であり、脳死移植は、過去6年間でわずか25例に過ぎない。 |
| B | 生体肝移植には、健康であるドナー(提供者)から肝臓の一部(グラフト)を摘出しなければならない。 |
| C | ドナーの安全を考えると、摘出グラフトがレシピエントにとってサイズが過小とならざるを得ないことがある。 |
| D | 脳死が主体の欧米においてもドナー不足が深刻となっている。 |
| E | 機能的に満足な人工肝臓が完成していない。 |
| F | 肝臓は生体内で唯一再生することができる臓器である。 |
| 肝臓の他にも重篤な課題を抱えているものに膵臓がある。糖尿病は、膵から分泌されるインスリンの相対的機能低下に伴って生じる。糖尿病は、世界で30億人、わが国で約1,400万人と近年急増していることが報告されている。この内3〜5%にインスリンの自己注射が絶対必要となる。 | |
| このようななか、肝、膵、神経、心筋細胞などに分化する胚性幹細胞が注目されてきている。再生医学という領域である。全ての分野が実際の治療法として定着するには、まだまだ先のことであるが、臓器移植や人工臓器治療を補いつつ新たな治療法として成長することは間違いないことと思われる。再生医学や今後の展望についても併せて述べてみたいと思う。 | |